放射性物質拡散モデルの解釈
気象庁がついに、放射性物質の拡散モデルの結果を公表しました。http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/kokusai_eer.html
それ以前に読売新聞Webで公表されたドイツ気象局(http://www.dwd.de/)初期時刻は、4月5日12UTC。で、これには条件が発表されていないため、評価のしようがありません。
気象庁がIAEAの要請に基づいて計算し、その詳細を公表しました。で、DWDが行ったシミュレーションは、これhttp://www.jma.go.jp/jma/kokusai/EER/eer23.pdf。
もし、前提条件が同じだったとすると、独立した2機関が別々に計算した結果が相等に類似しているので、モデルはわりかし正当なのでしょう。
結果も似ているから、前提条件もほぼいっしょだろうと思います。(実はまったく同じモデルを使って境界値も同じという可能性も否定はできない)
で、気象庁の資料から前提条件を確認してみましょう。
4月4日 6時UTC 以降72時間にわたって総量1Bqの放射性物質が放出された。高度は20m〜500mの間。
その結果、濃度分布が図のようになった。
濃度をみると、関東北縁で1^-13なので、10兆分の1になるとのことです。
これは、そもそも4月4日に爆発していることになっていますが、その日、放出されるようなイベントがあったでしょうか?放射線量を計測しているデータを確認してもその日前後で有意に放射線が増えたというレポートは上がっていません。
これを、まるで、予想かのように扱っているサイトが散見されますが、そもそも、これは予想ではありません。この日にもし、放出があったらこうなるだろうと言うものなのです。
では、実際に参考にすべきなのは、3月15日に、多く放出されたとおもわれているので、3月15日0時UTCの3時間で1Bq放出したと仮定した計算結果になると思いますhttp://www.jma.go.jp/jma/kokusai/EER/eer10.pdf。
ちなみにこのモデルの解像度は100kmの格子だそうです。升目1つや2つくらいは誤差の範囲ですので300kmくらいは誤差があると言う解釈になります。(拡散モデルなので違うかもしれませんが、気象シミュレーションでは、そのモデルが表現することにできる大きさは、格子感覚の2〜5倍程度のものと言われています)
これは、たぶん、国内の避難計画を立てるのにはあまり、約に立たないのでは、とおいます。公表しても誤解を招くと思います。
前提条件も、計算モデルもわからないまま、海外の発表したものをまるまる信じて、「不安」を煽りたがる、Webサイトや、新聞にはもう少し考えて発表してほしいものです。